マンションやアパートで光回線の工事を申し込むと、業者から「MDF室の解錠をお願いします」と言われることがあります。しかし、MDFとは何なのか、どこにあるのか、なぜ解錠が必要なのか、初めて聞く方には分かりにくいですよね。
この記事では、MDF(主配線盤)の基礎知識から光回線工事での具体的な役割、解錠手続きの方法、マンションの3つの配線方式の違いまで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。これから光回線工事を予定している方、MDF室の解錠依頼を受けた方は、ぜひ参考にしてください。
- MDFとは何か、光回線工事での役割
- MDF室の解錠手続きの具体的な方法
- 光配線・VDSL・LAN配線の3つの配線方式の違い
- よくあるトラブルと対処法
- VDSL方式から光配線方式への変更方法
MDF(主配線盤)とは?光回線との関係を初心者向けに解説
MDFの基本定義
MDF(エムディーエフ)とは、「Main Distributing Frame(メイン・ディストリビューティング・フレーム)」の略称で、日本語では「主配線盤」と呼ばれています。
簡単に言えば、マンションやビル全体の電話回線・光回線などの通信回線を一箇所に集めて管理する設備のことです。
電柱や地下から引き込まれた回線をMDFで受け止め、そこから建物内の各部屋へ分配する役割を担っています。
マンションやオフィスビルなど、複数の世帯・テナントが入居する建物では、各部屋に個別に回線を引き込むと配線が煩雑になり、建物の外観も損なわれます。そこで、建物全体の回線をMDFに集約することで、効率的かつ美観を保ちながら通信環境を整備できるのです。
なぜマンション・ビルに必要なのか
戸建て住宅の場合、電柱から直接自宅へ光ファイバーケーブルを引き込むだけで済みます。しかし、マンションやアパートのような集合住宅では、何十世帯もの回線を管理する必要があります。
もし各部屋ごとに電柱から直接回線を引き込むと、以下のような問題が発生します。
- 建物の外壁に無数のケーブルが這い、見た目が悪くなる
- 配線の管理が煩雑になり、トラブル時の対応が困難
- 工事のたびに建物全体に影響が出る可能性がある
- 回線の追加・変更・撤去が非効率
MDFを導入することで、電柱→MDF室→各部屋という統一された配線ルートを確立し、これらの問題を解決しています。NTT収容局から建物のMDFまで、建物の規模に応じた配線数を引き込み、制御盤を設置することで、MDF室からの配線作業だけで各部屋にインターネット環境を提供できるのです。
MDF室がある場所
MDF室の場所は建物の規模や構造によって異なりますが、一般的には以下のような場所に設置されています。
| 建物タイプ | MDF室の設置場所 |
|---|---|
| 大規模マンション・ビル | 専用の「MDF室」「通信機械室」「電気機械室」として独立したスペース |
| 中規模マンション | 1階の共用部、管理人室内、防災センター内 |
| 小規模アパート | 共用廊下、駐車場内、エントランス付近 |
| その他 | 建物外壁に設置された「MDF盤」「電話端子盤」と書かれた箱型設備 |
MDF室やMDF盤には、ほとんどの場合、鍵がかかっています。これは、建物の重要な通信設備が集まっているため、セキュリティ上の理由から施錠されているのです。
責任分界点の考え方
光回線の設備には「責任分界点」という重要な概念があります。これは、どこまでが通信キャリアの管理範囲で、どこからが建物オーナーやテナントの管理範囲かを明確にするものです。
- 電話回線の場合
-
- 電柱からMDFまで:NTTなど通信キャリアの守備範囲
- MDFより内側:物件オーナーの守備範囲
- IDF以降(IDFがある場合):テナント側の責任範囲
- 光回線の場合
-
- 電柱からONU(光回線終端装置)まで:通信キャリア側の守備範囲
- ONU以降の個々の端子盤への接続:テナント側の管理範囲
- 配電盤や配電管の修理:通信キャリア側の守備範囲

この責任分界点を理解しておくことで、トラブルが発生した際にどこに連絡すべきかが明確になります。
マンションの光回線工事におけるMDFの役割
電柱→MDF室→各戸への配線の流れ
マンションで光回線を利用する際の配線の流れは、以下のステップで進みます。
最寄りの電柱や地下から、建物のMDF室まで光ファイバーケーブルを引き込みます。この工事はNTT東日本・西日本などの通信キャリアが行います。既に光回線が引き込まれているマンションでは、このステップは不要です。
MDF室内に設置されたPT(Premises Termination:構内端末)に光ファイバーケーブルを接続します。さらに、スプリッタ(分波器)やパッチパネルなどの機器を設置し、1本の光ファイバーケーブルを複数の回線に分岐させます。
MDF室から各部屋まで配線を行います。この配線方法には、「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3種類があり、どの方式を採用するかは建物の設備状況によって決まります。
各部屋に光コンセントやモジュラージャック、ONUなどの機器を設置し、インターネット接続が可能な状態にします。
MDF室で行われる作業内容
光回線工事の際、MDF室では主に以下のような作業が行われます。
- 光ファイバーケーブルの接続:電柱から引き込まれた光ファイバーケーブルをPTに接続
- スプリッタの設置:1本の光ファイバーを複数の回線に分岐させる装置を設置
- パッチパネルへの配線:分岐した光ファイバーを各戸へ繋ぐためのパッチパネルに接続
- 既存設備の確認:MDF盤の空き状況や既存の配線状況を確認
- ジャンパー線の接続:VDSL方式の場合、対ケーブル(電話回線)とジャンパー線を接続
これらの作業は専門の工事業者が行いますが、MDF室に入室できなければ作業ができません。そのため、事前に管理会社や管理組合に連絡して解錠の手配をしておく必要があるのです。
光配線・VDSL・LAN配線の3方式
MDF室から各部屋への配線方法には、以下の3つの方式があります。
| 配線方式 | 共用部→各戸の配線 | 最大速度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 光配線方式 | 光ファイバーケーブル | 1〜10Gbps | 最も高速で安定 |
| VDSL方式 | 電話回線(メタル線) | 最大100Mbps | 既存の電話回線を活用 |
| LAN配線方式 | LANケーブル | 100Mbps〜1Gbps | ONU不要、採用例少 |
「MDFまで光回線が来ている」の意味
不動産情報や物件案内で「MDFまで光回線が来ている」「MDF引込済」という表記を見かけることがあります。これは、電柱からMDF室まで既に光ファイバーケーブルが引き込まれている状態を意味します。
- NTTのフレッツ光マンションタイプ用のラック(設備)がMDF室内に設置されている
- 各部屋で工事を行えば、すぐに光回線でインターネットが利用できる
- 建物全体に光回線を引き込む大規模工事は不要
一方、「MDFまでも光ファイバーが来ていない」場合は、より上位の「ファミリータイプ」や「ビジネスタイプ」に申し込み、光ファイバーを直接部屋まで引き込む必要があります。この場合、建物オーナーの許可が必要になるため、手続きが複雑になります。
MDF室の解錠が必要な理由と具体的な手続き方法
なぜ解錠が必要なのか
MDF室には建物全体の通信設備が集まっているため、セキュリティ上の理由からほとんどの建物で鍵がかかっています。光回線工事では、MDF室内で前述のような作業を行う必要があるため、工事当日にMDF室に入室できなければなりません。
MDF室の鍵には、以下の2種類があります。
| 鍵の種類 | 特徴 | 解錠依頼の必要性 |
|---|---|---|
| 共通キー(タキゲンキーなど) | 工事業者が持っている汎用的な鍵 一部の建物で使用可能 | 不要(業者が開けられる) ※念のため依頼推奨 |
| 建物専用キー | その建物独自の鍵 管理会社・オーナーが管理 ほとんどの建物がこのタイプ | 必須 依頼しないと工事不可 |
建物専用の鍵がかかっている場合、事前に管理会社や管理組合に連絡して解錠の手配をしないと、工事当日に作業ができず、工事が延期になってしまいます。さらに、工事業者がMDF室に入室できなかった場合、「お客様都合による工事キャンセル」と見なされ、違約金が発生する可能性もあります。
管理会社への連絡方法(テンプレート付き)
MDF室の解錠依頼は、工事日が決まったらすぐに管理会社や管理組合に連絡しましょう。以下に、連絡時のテンプレートを用意しましたので、参考にしてください。
【電話での連絡例】
「お世話になっております。〇〇号室の〇〇と申します。この度、光回線の開通工事を行うことになりまして、工事業者からMDF室の解錠をお願いするよう言われております。工事日は〇月〇日の〇時から〇時の予定です。当日、MDF室の解錠をお願いできますでしょうか?」
【メールでの連絡例】
件名:光回線工事に伴うMDF室解錠のお願い
〇〇管理会社 御中
いつもお世話になっております。
〇〇マンション〇〇号室の〇〇と申します。
この度、下記の日程で光回線の開通工事を行うことになりました。
工事業者より、MDF室での作業が必要とのことで、解錠のご協力をお願いしたく連絡いたしました。
【工事日時】
日時:〇〇年〇月〇日(〇曜日)〇時〜〇時
工事業者:NTT東日本(または該当の業者名)
工事内容:フレッツ光開通工事(マンションタイプ・光配線方式)
お手数をおかけいたしますが、当日MDF室の解錠をお願いできますでしょうか。
また、IDF室やEPS室の解錠が必要な場合もあるとのことですので、併せてご対応いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
〇〇〇〇(入居者名)
連絡先:080-XXXX-XXXX



管理会社によっては、「工事業者から直接連絡してほしい」と言われることもあります。その場合は、NTTや光回線事業者の受付担当に管理会社の連絡先を伝え、直接連絡してもらうよう依頼しましょう。
解錠依頼のタイミング
MDF室の解錠依頼は、工事日が決まったらできるだけ早く、遅くとも工事予定日の1週間前までに行いましょう。
理由は以下の通りです。
- 管理会社が工事日を把握し、解錠の準備をする時間が必要
- 工事内容によっては、管理会社から工事業者への確認事項がある場合も
- 複数の設備(MDF・IDF・EPS)の解錠が必要な場合、調整に時間がかかる
- 管理会社の担当者が不在の場合、引き継ぎに時間がかかる
解錠し忘れた場合の対処法
もし解錠依頼を忘れて工事当日を迎えてしまった場合、以下の対処法があります。
工事当日の朝に気づいた場合
- すぐに管理会社に電話で連絡し、緊急対応を依頼
- 工事業者にも連絡し、状況を説明
- 管理会社が対応可能であれば、工事時間をずらして対応してもらう
工事業者がMDF室に入れなかった場合
- 工事は延期となり、再調整が必要
- 「お客様都合による工事キャンセル」扱いになる可能性
- 違約金や再工事費用が発生する場合もある
- 再度、工事日を予約し直す必要がある
こうした事態を避けるため、工事日が決まったらすぐに解錠依頼を行うことが重要です。
マンションの3つの配線方式を徹底比較【光配線・VDSL・LAN配線】
光配線方式の特徴(最大1〜10Gbps、最も高速)
光配線方式は、電柱から各部屋まで全て光ファイバーケーブルで接続する方式で、3つの配線方式の中で最も高速かつ安定しています。
- 共用スペースから各部屋まで光ファイバーケーブルを使用
- 最大通信速度は1Gbps〜10Gbps
- 電磁波の影響を受けにくく、通信が安定
- 各部屋に専用の光回線が引かれるため、速度低下が少ない
- 室内に光コンセントを設置し、ONU(光回線終端装置)を接続
- 3つの配線方式の中で最も高速
- 通信速度が安定しており、混雑時も速度低下しにくい
- オンラインゲームや4K動画視聴など、大容量通信も快適
- 将来的に10Gbpsなどの超高速プランにも対応可能



新築マンションや築浅物件では、光配線方式が採用されていることが多く、「光コンセント」が既に設置されている場合は、ホームゲートウェイを接続するだけでインターネットが利用できます。
VDSL方式の特徴(最大100Mbps、電話回線利用)
VDSL方式は、共用スペースまでは光ファイバーケーブル、共用スペースから各部屋までは既存の電話回線(メタル線)を使う方式です。古いマンションで多く採用されています。
- 共用スペースから各部屋まで電話回線(メタル線)を使用
- 最大通信速度は50〜100Mbps
- 既存の電話回線を活用するため、工事が比較的簡単
- 室内にVDSL宅内装置(モデム)を設置
- モジュラージャックを利用
- 既存の電話回線を活用するため、新たな配線工事が不要
- 古いマンションでも導入しやすい
- 工事コストが比較的安い
LAN配線方式の特徴(最大1Gbps、採用例少)
LAN配線方式は、共用スペースまでは光ファイバーケーブル、共用スペースから各部屋まではLANケーブルを使う方式です。採用されている物件は比較的少ないです。
- 共用スペースから各部屋までLANケーブルを使用
- 最大通信速度は100Mbps〜1Gbps(LANケーブルの規格による)
- ONU(光回線終端装置)が不要
- 部屋のLANポートに直接LANケーブルを接続
- 全戸一括型インターネットサービスで多く採用
- ONU(回線終端装置)が不要で、機器がシンプル
- 月額料金が安い、または無料の場合が多い
- LANケーブルを接続するだけでインターネットが使える
- 工事が不要または簡単
通信速度・安定性・工事内容の比較表
| 項目 | 光配線方式 | VDSL方式 | LAN配線方式 |
|---|---|---|---|
| 共用部→各戸の配線 | 光ファイバーケーブル | 電話回線(メタル線) | LANケーブル |
| 最大通信速度 | 1〜10Gbps | 50〜100Mbps | 100Mbps〜1Gbps |
| 通信の安定性 | ◎ 非常に安定 | △ 混雑時に低下 | △ 混雑時に低下 |
| 電磁波ノイズ | ◎ 影響なし | △ 影響を受ける | ○ やや影響を受ける |
| 室内設置機器 | ONU、光コンセント | VDSLモデム | なし(LANポート直結) |
| 工事の必要性 | 必要 | 必要 | 不要または簡単 |
| 導入コスト | 高い | 中程度 | 安い |
| 月額料金 | 標準 | 標準 | 安い〜無料 |
| 採用されている建物 | 新築・築浅マンション | 古いマンション | 全戸一括型物件 |
| 総合評価 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
自分のマンションの配線方式を確認する方法
自分が住んでいる、またはこれから住む予定のマンションがどの配線方式を採用しているか、以下の方法で確認できます。
- 光コンセントがある → 光配線方式の可能性が高い
- モジュラージャックのみ → VDSL方式の可能性が高い
- LANポートがある → LAN配線方式の可能性が高い
ただし、設備があっても実際に使用できる状態かは、NTTや光回線事業者に確認する必要があります。
NTT東日本・西日本の公式サイトにあるフレッツ光のエリア検索で、住所を入力すると、その建物で利用可能な配線方式が表示されます。「マンションタイプ(光配線方式)」「マンションタイプ(VDSL方式)」などの記載で判断できます。
管理会社や大家さんに「この建物の光回線の配線方式は何ですか?」と直接聞くのが最も確実です。特に物件探しの段階であれば、内見時に確認しておくと良いでしょう。
申し込み前に、光回線事業者のカスタマーサポートに問い合わせて、その建物で利用可能な配線方式を確認できます。住所と建物名を伝えれば、詳細な情報を教えてもらえます。
IDF・EPS室との違いとは?関連設備の基礎知識
IDF(中間配線盤)の役割
IDF(アイディーエフ)とは、「Intermediate Distribution Frame(インターミディエイト・ディストリビューティング・フレーム)」の略称で、日本語では「中間配線盤」と呼ばれています。
高層マンションや大規模な商業ビルなど、大きな建物では、MDF室から各部屋まで直接配線すると距離が長くなりすぎるため、各階ごとにIDFを設置しています。IDFは、MDF室から引き込まれた回線を各階で受け止め、その階にある各部屋に分配する役割を担います。
簡単に言えば、MDFは建物全体の大元の配線盤、IDFは各階の配線盤というイメージです。
- 各階の通信機械室・電気機械室
- 共用廊下の「IDF盤」「電話端子盤」と書かれたボックス
- 共用部点検口の中
EPS室(Electric Pipe Space)とは
EPS(イーピーエス)とは、「Electric Pipe Space / Shaft(エレクトリック・パイプ・スペース/シャフト)」の略称で、電気や通信関係の配線を通すために建物の各階を跨ぐように作られた竪穴(たてあな)のことです。
ビルやマンションなど規模の大きな建物では、電気(強電用)と電話・光回線・TV・携帯基地局(弱電用)の大きく2つに分かれています。光回線を各部屋に引き込む場合も、このEPSを利用することになります。
- MDF室→IDF→各部屋へ配線を通すルート
- 建物の各階を垂直に貫通する配線用の空間
- 電気設備と通信設備を分けて管理
一部の建物では、PS(Pipe Space/Shaft)という水道やガスなどの専用設備が集まるスペースに、弱電系の設備もまとめられている場合があります。
MDF・IDF・EPSの関係性
これら3つの設備は、以下のような関係性にあります。
【配線の流れ】
電柱 → MDF室(1階) → EPS(竪穴) → IDF(各階) → 各部屋
例えば、4階の部屋で光回線工事を行う場合、以下の設備を経由します。
- 1階のMDF室で、建物に引き込まれた光回線を受け止める
- MDF室からEPS(竪穴)を通って4階まで配線を引き上げる
- 4階のIDFで対ケーブルをジャンパー線で接続
- 4階のIDFから目的の部屋まで配線



この流れを理解していると、工事業者から「MDF、IDF、EPSの解錠をお願いします」と言われたときに、なぜ複数の場所の解錠が必要なのかが分かりますね。
| 設備名 | 正式名称 | 役割 | 設置場所 |
|---|---|---|---|
| MDF | Main Distributing Frame (主配線盤) | 建物全体の回線を集約し分配 | 1階の共用部、管理人室など |
| IDF | Intermediate Distribution Frame (中間配線盤) | 各階の回線を受け止め分配 | 各階の通信機械室、共用廊下など |
| EPS | Electric Pipe Space/Shaft (電気配管スペース) | 配線を通すための竪穴 | 建物を縦に貫通する空間 |
工事でどの設備の解錠が必要か
光回線工事で解錠が必要な設備は、配線方式によって異なります。以下に、配線方式別の解錠が必要な場所をまとめました。
| 配線方式・契約タイプ | 解錠が必要な場所 |
|---|---|
| 光配線方式 ファミリータイプ(戸建てタイプ) | MDF室 + 設置階までの全てのIDF + 全てのEPS室 |
| VDSL方式 | MDF室のみ |
| LAN配線方式 | 集合装置が設置されている場所のみ (MDF室とは限らない) |
光配線方式やファミリータイプの場合、メタル線を使った工事とは違い、指定のスプリッターからONU(回線終端装置)を設置する部屋までの間にあるMDF室・IDF・EPS室の全てを開錠する必要があります。
光回線工事の流れとMDF室での作業内容
工事全体の流れ(電柱→MDF→各戸)
マンションで光回線工事を行う場合、以下の流れで工事が進みます。
光回線事業者に申し込み、工事日を調整します。この時点で、建物のMDF室まで光回線が引き込まれているか、どの配線方式が使えるかが確認されます。
工事日が決まったら、すぐに管理会社や管理組合に連絡し、MDF室などの解錠を依頼します。配線方式に応じて、必要な設備の解錠を手配します。
建物にまだ光回線が引き込まれていない場合、電柱や地下からMDF室まで光ファイバーケーブルを引き込む工事を行います。既に光回線が引き込まれている建物では、このステップは不要です。
MDF室内で、光ファイバーケーブルをPT(構内端末)に接続、スプリッタ(分波器)の設置、パッチパネルへの配線、VDSL方式の場合は対ケーブルとジャンパー線の接続などを行います。
配線方式に応じて、MDF室から各部屋まで配線を行います。
- 光配線方式:光ファイバーケーブルを各部屋まで配線
- VDSL方式:既存の電話回線を利用(新たな配線不要)
- LAN配線方式:既存のLANケーブルを利用(新たな配線不要)
各部屋に必要な機器を設置し、インターネット接続ができるか確認します。
- 光配線方式:光コンセント、ONU(光回線終端装置)を設置
- VDSL方式:VDSLモデムを設置
- LAN配線方式:特別な機器は不要、LANケーブルを接続するだけ
パソコンやスマートフォンでインターネット接続ができることを確認し、工事完了です。
MDF室で実際に行われる作業
MDF室では、専門の工事担当者が以下のような作業を行います。
- MDF室内のPT(構内端末)に光ファイバーケーブルを接続
- スプリッタ(分波器)を設置し、1本の光ファイバーを複数の回線に分岐
- 分岐した光ファイバーをパッチパネルに接続
- パッチパネルから各部屋へ繋がる光ファイバーケーブルを配線
- 接続状況を確認し、光信号が正常に届いているかテスト
工事に立ち会いは必要か
光回線工事での立ち会いの必要性は、工事内容によって異なります。
| 工事内容 | 立ち会いの必要性 |
|---|---|
| 派遣工事(室内への機器設置あり) | 必要 工事担当者が室内に入るため |
| 無派遣工事(機器が既に設置済み) | 不要 宅配で届く機器を自分で接続 |
| MDF室のみの作業 | 不要 ただし連絡が取れる状態で |
一方、既に光コンセントやモジュラージャックが設置されており、機器を接続するだけで済む場合は、無派遣工事となり立ち会い不要です。この場合、ONUやVDSLモデムが宅配便で届くので、自分で接続します。
MDF室での作業のみの場合は立ち会い不要ですが、工事担当者から連絡が来る可能性があるため、電話に出られる状態にしておくことが重要です。
工事時間の目安
光回線工事にかかる時間は、工事内容や建物の状況によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 工事内容 | 所要時間 |
|---|---|
| MDF室での作業のみ | 30分〜1時間 |
| 光配線方式(室内工事あり) | 1〜2時間 |
| VDSL方式(室内工事あり) | 30分〜1時間 |
| 建物への光回線引き込み工事 | 2〜4時間 |
| トラブル発生時 | 半日以上かかることも |
工事当日は、予定時間より長引く可能性も考慮して、時間に余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。特に、MDF室の鍵が見つからない、既存設備に空きがない、配線ルートが塞がっているなどのトラブルが発生すると、工事が延期になることもあります。
MDF関連でよくあるトラブルと対処法
MDFに空きがない場合
MDF盤には、建物の規模に応じた配線数が設定されていますが、既に全ての回線が使用されていて空きがない場合があります。これは、多くの入居者が既に光回線やインターネット回線を契約しており、MDF盤の容量が満杯になっている状態です。
- 他の回線の空き状況を確認:工事業者に依頼して、他の回線に空きがないか確認してもらう
- 増設工事を検討:MDF盤の増設工事を行うことで、新たな回線を追加できる場合がある(オーナーの許可と費用負担が必要)
- 別の光回線事業者を検討:NTT系以外の光回線(NURO光、auひかりなど)であれば、別のMDF盤を使用する可能性がある
- 戸建てタイプで契約:マンションタイプではなく、戸建てタイプで契約し、MDF室を経由せずに直接部屋まで光回線を引き込む
解錠できない・鍵がない場合
工事当日にMDF室の鍵が見つからない、管理会社が鍵を持っていないというトラブルが発生することがあります。
- 原因
-
- 管理会社が交代し、鍵の引き継ぎができていない
- 鍵が紛失している
- 古い建物で、元々鍵の管理が曖昧だった
- オーナーが鍵を持っているが、連絡が取れない
- 対処法
-
- オーナーに直接連絡:管理会社が鍵を持っていない場合、オーナーが持っている可能性がある
- 工事業者の共通キーで試す:タキゲンキーなどの共通キーで開くタイプかもしれない
- 鍵の専門業者に依頼:オーナーの許可を得て、鍵の専門業者に解錠を依頼(費用は誰が負担するか要確認)
- 工事を延期し、鍵の手配を待つ:鍵が見つかるまで工事を延期
このトラブルを避けるため、工事日の1週間前には解錠依頼を行い、管理会社に鍵の所在を確認してもらうことが重要です。
管理会社が非協力的な場合
稀に、管理会社が「MDF室の解錠には対応できない」「工事業者が直接連絡してほしい」など、非協力的な対応をする場合があります。
- 工事業者から直接連絡してもらう:NTTや光回線事業者の受付担当に、管理会社の連絡先を伝え、直接連絡してもらう
- 賃貸契約書を確認:光回線工事に関する条項がある場合、それを根拠に交渉
- オーナーに直接相談:管理会社を介さず、オーナーに直接相談する
- 消費者センターに相談:正当な理由なく拒否されている場合、消費者センターに相談
工事当日にMDF室に入れない場合
解錠依頼をしていたにも関わらず、工事当日にMDF室に入れないというトラブルが発生することがあります。
- 原因
-
- 管理会社の手配ミスで解錠されていない
- 工事日時の連携ミス
- 管理会社の担当者が不在で解錠できない
- 対処法
-
- すぐに管理会社に連絡:工事担当者と一緒に管理会社に連絡し、緊急対応を依頼
- 管理会社の担当者に現地へ来てもらう:近くにいる場合、すぐに来てもらって解錠
- 工事時間を後ろ倒しにする:解錠までの時間を待ち、工事時間をずらす
- 工事を延期する:どうしても解錠できない場合、工事を延期し、再調整
このトラブルを避けるため、工事日の前日に管理会社に確認の連絡を入れることをおすすめします。「明日○時から光回線工事があり、MDF室の解錠をお願いしていますが、準備は大丈夫でしょうか?」と一言確認するだけで、トラブルを防げます。
VDSL方式で速度が遅い場合の改善策
VDSL方式で光回線を利用していて、速度が遅いと感じる場合、以下の改善策を試してみましょう。
改善策1:ルーター・モデムの再起動
VDSLモデムやWi-Fiルーターを再起動することで、速度が改善する場合があります。電源を一度切り、30秒ほど待ってから再度電源を入れましょう。
改善策2:LANケーブルを高品質なものに交換
古いLANケーブルを使っている場合、「CAT5e」以上の規格のLANケーブルに交換することで速度が改善する場合があります。
改善策3:電磁波ノイズの影響を避ける
VDSL方式は電磁波ノイズの影響を受けやすいため、VDSLモデムを電子レンジやテレビなどの家電製品から離して設置しましょう。
改善策4:利用時間帯を変える
夜間や休日など、マンション内で多くの人がインターネットを使う時間帯は速度が低下しやすいため、可能であれば別の時間帯に利用しましょう。
改善策5:IPv6(IPoE)接続を利用
IPv6(IPoE)接続を利用することで、混雑を回避し、速度が改善する場合があります。プロバイダがIPv6に対応しているか確認し、設定を変更しましょう。
改善策6:光配線方式への変更を検討
根本的な解決策として、光配線方式への変更を検討します。詳しくは次のセクションで解説します。
改善策7:戸建てタイプで個別に契約
マンション全体の配線方式を変更できない場合、自分の部屋だけ戸建てタイプで契約し、MDF室を経由せずに直接光回線を引き込む方法もあります(オーナーの許可が必要)。
VDSL方式から光配線方式への変更は可能?
変更の難易度と条件
VDSL方式で通信速度が遅いと感じている方の中には、光配線方式への変更を検討している方もいるでしょう。しかし、結論から言うと、VDSL方式から光配線方式への変更は非常に難しく、現実的ではないケースが多いです。
変更が難しい理由
- マンション全体の大規模工事が必要:共用スペースへのスプリッタの設置、共用スペースから各戸までの光ケーブルの配線など、建物全体にわたる工事が必要
- 一定数以上の契約が条件:多くの光回線事業者は、マンション全体で一定数以上(例:8戸以上)の契約が集まらないと工事を実施しない
- オーナーや管理会社の許可が必須:建物全体の工事となるため、オーナーや管理会社、管理組合の許可が必要。工事費用の負担、他の入居者への影響などを考慮すると、許可が下りないケースが多い
- 高額な工事費用:数百万円規模の工事費用がかかる場合があり、誰がその費用を負担するかが問題になる
- 工事期間が長い:工事の調整や実施に数ヶ月かかることもある
- マンション全体で光配線方式への変更を希望する住人が一定数以上いる
- オーナーや管理組合が工事を許可する
- 工事費用の負担方法が決まる
- 光回線事業者が定める最低契約数の条件を満たす
マンション全体で変更する方法
もしマンション全体でVDSL方式から光配線方式へ変更したい場合、以下の手順で進めます。
マンション内の他の住人に対して、光配線方式への変更を希望するか意向調査を行います。一定数以上の希望者が集まれば、次のステップに進みやすくなります。
意向調査の結果をもとに、管理組合やオーナーに光配線方式への変更を提案します。工事の必要性、メリット(物件価値の向上、入居率アップなど)を説明し、理解を得ます。
NTT東日本・西日本やその他の光回線事業者に、マンション全体での光配線方式導入の可能性を問い合わせます。工事費用の見積もり、最低契約数、工事期間などを確認します。
管理組合の総会で、光配線方式への変更を議題として提出し、議決を取ります。工事費用の負担方法(管理費から支出、各戸で負担など)も決定します。
管理組合の承認が得られたら、光回線事業者と契約し、工事を実施します。工事中は一時的に共用部分が使えなくなるなど、住人への影響もあるため、事前に周知が必要です。
個別で戸建てタイプを契約する方法
マンション全体での変更が難しい場合、自分の部屋だけ戸建てタイプ(ファミリータイプ)で契約するという方法があります。これは、マンションのVDSL方式を使わず、電柱から直接自分の部屋まで光ファイバーケーブルを引き込む方法です。
- マンション全体の工事や他の住人の協力が不要
- 光配線方式と同等の高速通信が可能
- 1本の光回線を独占できるため、混雑時も速度が安定
- オーナーの許可さえ得られれば比較的実現しやすい
- オーナーや管理会社に相談し、工事の許可を得る
- 光回線事業者に戸建てタイプで申し込む
- 工事日を調整し、電柱から直接部屋まで光ファイバーケーブルを引き込む工事を実施
- 室内にONUを設置し、インターネット接続を確認



この方法は、VDSL方式の速度に不満があり、かつマンション全体での変更が難しい場合の現実的な選択肢と言えます。
NTT東日本の光配線化推進について
NTT東日本では、集合住宅の通信品質向上と環境負荷低減を目的に、光配線化を積極的に推進しています。
- VDSL/LAN配線方式の新規受付終了:2024年10月24日に「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN配線方式」などの新規申込み受付を終了
- 光配線化要望フォームの設置:2024年11月から、集合住宅の入居者からの光配線化要望を受け付けるフォームを設置
- 管理会社への積極的なアプローチ:要望フォームに入力された情報をもとに、NTT東日本の専門スタッフが管理会社へ光配線方式の導入を提案
- 通信品質の向上:VDSL方式の最大100Mbpsから、光配線方式の最大1〜10Gbpsへと大幅に速度向上
- 環境負荷の低減:光ファイバーは銅線(電話回線)よりも環境負荷が低い
- 電気代・機材費の高騰への対応:VDSL方式の維持コストが上昇しているため、長期的には光配線方式の方が経済的
よくある質問(FAQ)
- MDF室はどこにありますか?
-
MDF室の場所は建物によって異なります。大規模マンションでは専用の「MDF室」「通信機械室」があり、中規模マンションでは1階の共用部や管理人室内、小規模アパートでは共用廊下や駐車場内に設置されていることが多いです。建物外壁に「MDF盤」と書かれたボックス型の設備として設置されている場合もあります。不明な場合は、管理会社や大家さんに確認しましょう。
- 解錠依頼はいつまでにすればいいですか?
-
工事日が決まったらできるだけ早く、遅くとも工事予定日の1週間前までに解錠依頼を行いましょう。管理会社が準備する時間が必要なこと、工事内容によっては複数の設備(MDF・IDF・EPS)の解錠が必要な場合があることから、余裕を持った依頼が重要です。
- 工事当日に立ち会いは必要ですか?
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派遣工事(室内への機器設置あり)の場合は立ち会いが必要です。光配線方式で新たに光コンセントやONUを設置する場合、VDSL方式でVDSLモデムを設置する場合などが該当します。一方、無派遣工事(機器が既に設置済み)の場合は立ち会い不要で、宅配で届く機器を自分で接続します。MDF室での作業のみの場合も立ち会い不要ですが、電話に出られる状態にしておきましょう。
- 「MDFまで光回線が来ている」とはどういう意味ですか?
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電柱からMDF室まで既に光ファイバーケーブルが引き込まれており、NTTのフレッツ光マンションタイプ用の設備(ラック)がMDF室内に設置されている状態を意味します。この場合、各部屋で工事を行えばすぐに光回線でインターネットが利用でき、建物全体に光回線を引き込む大規模工事は不要です。
- VDSL方式とは何ですか?
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VDSL方式とは、共用スペースまでは光ファイバーケーブル、共用スペースから各部屋までは既存の電話回線(メタル線)を使う配線方式です。最大通信速度は50〜100Mbpsで、光配線方式に比べて遅いですが、既存の電話回線を活用するため工事が比較的簡単で、古いマンションで多く採用されています。ただし、NTT東日本では2024年10月に新規受付を終了しました。
- 自分のマンションの配線方式を調べる方法は?
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室内の設備を確認する(光コンセント→光配線方式、モジュラージャック→VDSL方式、LANポート→LAN配線方式)、NTT東日本・西日本のエリア検索を利用する、管理会社・大家さんに問い合わせる、光回線事業者に問い合わせるなどの方法で確認できます。
- MDF室の鍵がかかっていない場合もありますか?
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一部の建物では、工事業者が持っているタキゲンキーなどの共通キーで開けられる場合や、元々鍵がかかっていない場合もあります。ただし、ほとんどの建物では建物専用の鍵がかかっているため、管理会社への解錠依頼が必要です。確実に工事を完了させるため、鍵がかかっていないと聞いた場合でも、念のため管理会社に確認することを推奨します。
- 解錠依頼を忘れた場合どうなりますか?
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工事当日にMDF室に入れず、工事が延期になります。「お客様都合による工事キャンセル」と見なされ、違約金が発生する可能性もあります。工事日が決まったらすぐに管理会社へ解錠依頼を行い、工事前日にも確認の連絡を入れることで、このトラブルを防げます。もし工事当日の朝に気づいた場合は、すぐに管理会社と工事業者に連絡し、緊急対応を依頼しましょう。
まとめ:MDF(主配線盤)の理解で光回線工事をスムーズに
この記事では、MDF(主配線盤)の基礎知識から、光回線工事での具体的な役割、解錠手続き、マンションの3つの配線方式の違い、よくあるトラブルと対処法まで詳しく解説しました。
- MDFとは:マンション・ビル全体の通信回線を一箇所に集めて管理する主配線盤
- 解錠が必要な理由:MDF室での作業が必須で、ほとんどの建物で鍵がかかっているため
- 解錠依頼のタイミング:工事日が決まったらすぐ、遅くとも1週間前までに
- 3つの配線方式:光配線方式(最速・安定)、VDSL方式(最大100Mbps・採用多)、LAN配線方式(採用少)
- IDF・EPS:IDFは各階の中間配線盤、EPSは配線を通す竪穴
- よくあるトラブル:MDFに空きがない、解錠できない、速度が遅いなど
- VDSL→光配線への変更:マンション全体での変更は困難、個別で戸建てタイプ契約が現実的
光回線工事を成功させるためには、事前の準備が何より重要です。特に、MDF室の解錠依頼を早めに行い、管理会社との連携をしっかり取ることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
これから光回線工事を予定している方、MDF室の解錠依頼を受けた方は、この記事の内容を参考に、スムーズな工事を実現してください。快適な光回線ライフをお楽しみください!









