「Wi-Fi中継器を買ったのに、全然速くならない…」
そんな経験をした方は少なくありません。中継器を設置すれば電波が届くようになると期待したのに、むしろ遅くなったように感じることもあります。
実は、Wi-Fi中継器には構造的な限界があり、使い方や環境によっては「意味がない」と感じてしまうケースが確かに存在します。ただし、正しく使えば効果を発揮する場面もあるため、一概に「中継器はダメ」とは言い切れません。
この記事では、Wi-Fi中継器が意味ないと感じる5つの原因と、それぞれの対処法を解説します。中継器が向いているケース・向いていないケースを明確にし、メッシュWi-Fiなどの代替手段も含めて、あなたの環境に最適な解決策を見つけるお手伝いをします。
Wi-Fi中継器の仕組みと限界
まず、Wi-Fi中継器がどのような仕組みで動作しているかを理解しておきましょう。ここを押さえると、なぜ「意味がない」と感じてしまうのかがわかります。
中継器の基本的な動作原理
Wi-Fi中継器は、親機(ルーター)から受信した電波を増幅して再送信する機器です。ルーターからの電波が弱くなる場所に設置することで、その先まで電波を届けることができます。
イメージとしては、声が届かない距離にいる人に向かって、途中にいる人が「伝言」するようなものです。ルーターの電波を中継器が受け取り、端末に向けて再送信します。
中継器の構造的な限界:速度が半減する理由
ここが重要なポイントです。多くの中継器は「受信」と「送信」を同じ周波数帯で交互に行うため、理論上の通信速度が最大で半分になります。
例えば、親機からの電波が100Mbpsで届いている場合、中継器を経由すると最大でも50Mbps程度になってしまいます。これは中継器の構造上避けられない問題です。
これを「半二重通信」と呼びます。電話で例えるなら、一方が話している間はもう一方が聞くしかない状態です。同時に双方向の通信ができないため、効率が下がります。
一部の高性能な中継器は、2.4GHz帯と5GHz帯を別々に使い、一方で受信・もう一方で送信することで速度低下を抑えています。ただし、この場合も完全に速度を維持できるわけではなく、環境によっては20〜30%程度の低下が起こります。
中継器を経由すると遅延(ラグ)も増える
速度だけでなく、通信の遅延(レイテンシ)も増加します。データが親機→中継器→端末と2段階で伝わるため、直接接続と比べてタイムラグが発生します。
Webページの閲覧や動画視聴では気にならない程度ですが、オンラインゲームやビデオ会議など、リアルタイム性が求められる用途では問題になることがあります。
Wi-Fi中継器が「意味ない」と感じる5つの原因
中継器を設置しても効果を感じられない場合、以下の5つの原因が考えられます。当てはまるものがないか確認してみてください。
原因1:設置場所が不適切
最も多い原因が、中継器の設置場所の問題です。
よくある間違い:電波が届かない場所に設置している
「電波が届かない部屋に置けば届くようになる」と考えて、電波の弱い場所に中継器を設置してしまうケースがあります。これは逆効果です。
中継器は親機からの電波を受信して増幅します。そのため、中継器自体がしっかり親機の電波を受信できる場所に設置する必要があります。電波が弱い場所に置くと、弱い電波を増幅しても弱いまま、あるいはさらに不安定になります。
親機と電波を届けたい部屋の「中間地点」で、かつ親機からの電波がアンテナ2〜3本程度(-60dBm前後)で安定して受信できる場所が理想です。
原因2:親機(ルーター)自体の性能が低い
中継器は親機の電波を増幅するだけなので、そもそも親機の性能が低い場合は中継器を追加しても根本的な解決にはなりません。
- 親機が古い規格(Wi-Fi 4以前)で速度が遅い
- プロバイダからレンタルしている低スペックルーターを使用
- 接続台数が多く、親機の処理能力が追いついていない
こうした場合は、中継器ではなく親機自体のアップグレードを検討すべきです。
原因3:回線自体が遅い
Wi-Fiの問題ではなく、インターネット回線自体の速度が遅いケースもあります。
まずは有線LAN接続で速度を測定し、回線自体の速度を確認してみてください。有線でも遅い場合は、中継器ではなく回線の乗り換えが必要です。
原因4:中継器の規格が古い・親機と合っていない
中継器の規格が親機より古い場合、ボトルネックになって速度が制限されます。
| 親機の規格 | 中継器の規格 | 結果 |
|---|---|---|
| Wi-Fi 6(最大9.6Gbps) | Wi-Fi 5(最大6.9Gbps) | 中継器がボトルネックになる |
| Wi-Fi 6(最大9.6Gbps) | Wi-Fi 6(最大9.6Gbps) | 性能を活かせる |
| Wi-Fi 5(最大6.9Gbps) | Wi-Fi 6(最大9.6Gbps) | 親機の速度が上限 |
中継器を選ぶ際は、親機と同等以上の規格に対応しているものを選びましょう。
原因5:障害物が多すぎる・距離が遠すぎる
鉄筋コンクリートの壁、金属製の扉、水槽など、電波を遮断・減衰させる障害物が多い環境では、中継器1台では十分にカバーできないことがあります。
また、3階建ての戸建てや広いマンションなど、物理的に距離が遠い場合も同様です。中継器を複数台設置することも可能ですが、中継を重ねるほど速度低下と遅延が増加します。
このような環境では、中継器よりもメッシュWi-Fiシステムのほうが効果的な場合が多いです。
中継器が効果的なケース・効果がないケース
中継器は万能ではありませんが、条件が合えば十分に効果を発揮します。向いているケースと向いていないケースを整理しました。
中継器が効果的なケース
- 電波を届けたい場所が1箇所だけ:特定の部屋だけ電波が弱い場合は、適切な位置に中継器を設置することで改善できます
- 速度よりも「繋がること」を重視:多少速度が落ちても、電波が届いてインターネットが使えればOKという場合
- コストを抑えたい:中継器は3,000〜10,000円程度で購入でき、メッシュWi-Fiより安価
- 親機からの電波がある程度届いている:中間地点で電波強度が-70dBm以上ある場合
中継器が効果的ではないケース
- 家全体の速度を改善したい:複数の部屋で速度を維持したい場合、中継器では限界がある
- オンラインゲームやビデオ会議をする:遅延の増加が問題になる用途には向かない
- 3階建て以上の戸建て・広い家:1台の中継器ではカバーしきれない
- 障害物が多い環境:鉄筋コンクリート、金属扉が多い建物
- 接続機器が多い:10台以上の機器が同時接続する環境
中継器の効果を最大化する正しい設置方法
中継器をすでに持っている場合は、設置方法を見直すことで効果を改善できる可能性があります。
最適な設置場所の見つけ方
親機がある部屋と、電波を届けたい部屋の中間あたりの位置を確認します。
スマートフォンで中間地点に移動し、Wi-Fiのアンテナが2〜3本立つか確認します。アプリ「WiFi Analyzer」を使うとdBm値で正確に測定できます。-65dBm以上が理想です。
理想的な位置の近くにコンセントがあるか確認します。延長コードで無理に引き回すと、設置位置がずれて効果が落ちます。
床に近い位置ではなく、腰〜胸の高さ(1m前後)に設置すると電波が届きやすくなります。コンセント直挿しタイプの場合は、高い位置のコンセントを選びましょう。
電子レンジ、水槽、金属製の棚の近くは避けます。見通しの良い場所が理想です。
5GHz帯を優先的に使う設定
中継器が2.4GHzと5GHzの両方に対応している場合、5GHz帯を優先的に使う設定にすることで速度低下を抑えられます。5GHz帯は2.4GHz帯より高速で、干渉も受けにくいためです。
ただし、5GHz帯は壁や障害物に弱いため、親機から中継器までの距離が遠い場合は2.4GHz帯のほうが安定することもあります。両方試して、速度と安定性のバランスが良い方を選んでください。
中継器のSSIDを親機と別にする
多くの中継器は、親機と同じSSID(Wi-Fiネットワーク名)で動作します。これは便利ですが、端末が親機と中継器のどちらに接続するかを自動で判断するため、意図しない接続先になることがあります。
中継器のSSIDを別の名前に設定すると、手動で接続先を選べるようになります。電波が弱い部屋では中継器のSSIDに、親機に近い場所では親機のSSIDに接続するよう使い分けられます。
中継器より効果的な代替手段
中継器で解決できない場合は、以下の代替手段を検討してください。環境によっては、こちらのほうが効果的です。
メッシュWi-Fiシステム
メッシュWi-Fiは、複数のルーター(ノード)が連携して家全体を一つのWi-Fiネットワークでカバーするシステムです。中継器との最大の違いは、各ノード間の通信に専用の帯域(バックホール)を使用するため、速度低下が起きにくい点です。
| 比較項目 | 中継器 | メッシュWi-Fi |
|---|---|---|
| 速度低下 | 最大50%程度 | ほぼなし(専用バックホール使用時) |
| 遅延 | 増加する | ほぼ変わらない |
| 切り替え | 手動または不安定 | 自動でシームレス(ローミング) |
| 管理 | 個別設定 | 一元管理(アプリで簡単) |
| 価格 | 3,000〜10,000円 | 15,000〜40,000円(2台セット) |
| 向いている環境 | 1部屋の電波改善 | 家全体のカバー |
メッシュWi-Fiは初期費用が高いですが、家全体で安定した速度が得られ、部屋を移動しても自動で最適なノードに切り替わる(ローミング)ため、ストレスなく使えます。
- TP-Link Decoシリーズ:コスパに優れ、初心者にも設定が簡単
- BUFFALO Easy Meshシリーズ:日本メーカーでサポートが安心
- Google Nest Wifi:スマートホームとの連携に強い
- ASUS ZenWiFi:高性能で広い家向け
有線LAN + アクセスポイント
最も確実で高速な方法は、有線LANケーブルを電波の届かない部屋まで配線し、そこにアクセスポイント(AP)を設置することです。
アクセスポイントは親機から有線で接続されているため、速度低下がほとんどありません。新築やリフォームの際に壁内配線できれば理想的ですが、既存の住宅でもLANケーブルを露出配線したり、フラットケーブルを使って目立たなくすることは可能です。
PLCアダプター(電力線通信)
PLCアダプターは、家庭内の電力線(コンセント)を使ってネットワーク信号を伝送する機器です。親機側のコンセントと、電波を届けたい部屋のコンセントにそれぞれアダプターを挿すことで、配線工事なしでネットワークを拡張できます。
ただし、家の電気配線の状態によっては速度が出にくいことがあり、安定性では有線LANやメッシュWi-Fiに劣ります。また、ノイズを発生する家電(ドライヤー、掃除機など)を使うと速度が落ちることもあります。
ルーターの買い替え
そもそもルーター自体が古い場合は、高性能なルーターに買い替えることで電波の到達距離が改善し、中継器が不要になることもあります。
Wi-Fi 6対応ルーターは、複数の端末に効率よく電波を送れるOFDMA技術やビームフォーミング(端末の方向に電波を集中させる)に対応しており、広い範囲をカバーできます。
環境別おすすめ対策
住環境によって最適な解決策は異なります。代表的な環境ごとにおすすめの対策を紹介します。
【2LDKマンション】
面積がそれほど広くないため、ルーターの設置場所を見直すか、高性能ルーターへの買い替えで解決することが多いです。
どうしても電波が届かない部屋がある場合は、中継器1台で対応可能。メッシュWi-Fiはややオーバースペックになる可能性があります。
おすすめ対策:ルーターの設置場所最適化 → 中継器1台
よくある質問(FAQ)
- Wi-Fi中継器を使うと速度は必ず落ちますか?
-
多くの中継器では、受信と送信を同じ周波数で交互に行うため、理論上は速度が半減します。ただし、デュアルバンド同時接続に対応した中継器では速度低下を抑えられます。また、そもそも電波が届かなかった場所に電波が届くようになれば、体感上は「速くなった」と感じることもあります。
- 中継器とメッシュWi-Fiの違いは何ですか?
-
中継器は親機の電波を受信して再送信する単純な増幅器で、速度低下が起きやすいです。メッシュWi-Fiは複数のノードが連携し、専用の通信帯域(バックホール)を使うため速度低下が少なく、部屋を移動してもシームレスに接続先が切り替わります。
- 中継器を2台以上設置しても大丈夫ですか?
-
設置自体は可能ですが、中継を重ねるほど速度低下と遅延が増加します。親機→中継器1→中継器2と接続すると、速度は元の1/4程度まで落ちる可能性があります。広い範囲をカバーしたい場合は、メッシュWi-Fiのほうが適しています。
- 中継器の設置場所はどこがベストですか?
-
親機からの電波がアンテナ2〜3本程度(-65dBm前後)で安定して受信できる場所で、かつ電波を届けたい部屋との中間地点が理想です。電波が弱すぎる場所に設置すると効果がありません。
- オンラインゲームで中継器を使っても大丈夫ですか?
-
中継器を経由すると遅延(Ping値)が増加するため、FPSや格闘ゲームなど反応速度が重要なゲームには向きません。可能であれば有線LAN接続か、遅延の少ないメッシュWi-Fiの使用をおすすめします。
- 中継器を買うなら何を基準に選べばいいですか?
-
親機と同等以上のWi-Fi規格(Wi-Fi 5/6など)に対応していること、デュアルバンド同時接続に対応していること、設置したい場所のコンセント形状に合うことを確認してください。また、同じメーカーの製品のほうが接続が安定することが多いです。
- 中継器がいらなくなるケースはありますか?
-
高性能なWi-Fi 6ルーターに買い替えることで、電波の到達距離が伸びて中継器が不要になることがあります。また、光回線を契約したときにプロバイダから提供されるWi-Fiルーターが高性能な場合も同様です。
まとめ
Wi-Fi中継器が「意味ない」と感じる原因は、主に以下の5つでした。
- 設置場所が不適切(電波の弱い場所に置いている)
- 親機自体の性能が低い
- 回線自体が遅い
- 中継器の規格が古い・親機と合っていない
- 障害物が多すぎる・距離が遠すぎる
- 中継器は構造上、速度が最大50%低下する可能性があることを理解した上で使う
- 設置場所を見直すだけで効果が改善することも多い(親機と目的地の中間で、電波が安定して受信できる場所)
- 家全体の電波改善や速度重視なら、メッシュWi-Fiのほうが効果的
- 最も確実なのは有線LAN + アクセスポイントの構成
中継器が合う環境であれば十分に効果を発揮しますが、合わない環境に無理に導入しても改善しません。この記事を参考に、自分の環境に最適な解決策を選んでください。

